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経営者のための労働基準法 〜解雇編〜

日本の法律では従業員の解雇に関して厳しく規定しており、正当な理由なく解雇できないようになっています。法律とは、労働基準法、労働契約法、男女雇用機会均等法などで、それぞれが一定の規定を設けています。

 

 

 

目次

  1. 1 解雇の種類を知ろう
  2. 1-1 普通解雇
  3. 1-2 整理解雇
  4. 1-3 懲戒解雇
  5. 2 解雇する前には予告が必要
  6. 3 解雇禁止項目を知ろう
  7. 3-1 解雇禁止項目の例
  8. 3-2 解雇禁止の例外

 

1 解雇の種類を知ろう

労働基準法第15条により、経営者は従業員を採用するとき、どのような理由で解雇になるかといった解雇の事由を含む労働条件を労働契約書などで明示しなければなりません。
また従業員が常時10人以上となる場合、労働契約書に加え、解雇の事由を含む退職に関する内容を盛り込んだ就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。

 

労働契約法では、解雇について「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」定めており、正当な理由なく解雇することを禁じています。

 

そして合理的な解雇として認められるものは、普通解雇、整理解雇、懲戒解雇の3種類になります。

 

 

1-1 普通解雇

勤務成績が特に悪かったり、指導を行っても改善の見込みがない場合は、労働契約の継続が困難として、解雇することができます。これを普通解雇といいます。

 

このほか、健康上の理由により長期にわたって職場復帰が見込めないときや、他の社員との協調性に著しく欠けるため、業務に支障を生じさせ、改善の見込みがないときも普通解雇として処理することができます。

 

 

1-2 整理解雇

会社の業績悪化により、今後経営することが困難と思われる場合、人員整理として解雇することができます。いわゆるリストラです。
整理解雇は次の4点を満たす必要があります。

 

・整理解雇の要件

1. 整理解雇することに客観的な必要がある
2. 会社側が従業員の解雇を回避するために最大限の努力を行った
3. 解雇の対象となる人選の基準、運用が合理的に行われている
4. 労使間で十分に協議を行った

 

 

1-3 懲戒解雇

従業員が、犯罪行為など極めて悪質な規律違反を行ったときの懲戒処分として行うための解雇になります。解雇の処分としては最も重く、社会的制裁の性質をもつ解雇といえます。公務員の場合は懲戒免職と呼ばれます。

 

近年話題のパワハラやセクハラを理由として懲戒解雇されたケースはあまり見られませんが、やめるよう何度も指導したにも関わらずこれを継続した場合は、懲戒解雇となることもあるようです。

 

 

2 解雇する前には予告が必要

解雇したいからといって、当日に解雇することはできません。
労働基準法では解雇しようとする従業員に対し、30日前までに解雇の予告をする必要があると定めています。解雇予告は口頭で行うこともできますが、書面にするのが無難でしょう。

 

また、この解雇予告制度は、次の者には適用されません。

 

1. 日雇い労働者
2 2か月以内の期間を定めている労働者
3. 4か月以内の期間を定めている季節労働者
4. 試用期間中の者

※ 「従業員のせめに帰すべき理由による解雇の場合」「天災地変により事業の継続が不可能となった場合」には、解雇予告や解雇予告手当の支払いをせずに即時に解雇することができます。

 

 

3 解雇禁止項目を知ろう

また、以下の項目を理由とした解雇はそれぞれに関連した労働法により禁止されています。

 

 

3-1 解雇禁止項目の例

1. 業務上の傷病による休業期間及びその後30日間の解雇
2. 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇
3. 労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇
4. 性別を理由とした解雇
5. 女性の婚姻、妊娠、出産、産前産後休業等を理由とする解雇
6. 産前産後の休業期間及びその後30日間の解雇
7. 育児·介護休業等を取得したことを理由とする解雇
8. パートタイム労働者であることを理由とする解雇
9. 労働組合の組合員であること等を理由とする解雇
10. 男女の均等な機会および待遇の確保に係る紛争に関する援助·調停を都道府県労働局長に求めたことを理由とする解雇
11. 女性労働者が、男女の均等な機会·待遇に関する事業主の措置で募集·採用、配置·昇進·教育訓練、一定の福利厚生、定年·退職·解雇に係る紛争について都道府県労働局長に援助を求めたことを理由とする解雇

 

 

3-2 解雇禁止の例外

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解雇禁止項目にはいくつかの例外が認められています。

 

まず「1.業務上の傷病による休業期間及びその後30日間の解雇」については、療養中の労働者が療養開始後3年を経過しても負傷または疾病が治癒しない場合は、会社は、平均賃金の1200日分の打切補償を支払うことで解雇することができます。

 

また、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合にも、例外的に解雇が許されます。ここでいう「天災事変その他やむを得ない事由」とは、事業所が火災で消失してしまった場合や、大地震によって倒壊してしまったというような場合を指し、税金の滞納処分を受けて事業廃止に至った場合や、事業主のミスで資金繰りがつかなくなり操業ができなくなったというような場合は含まれないとされています。(参照:労働政策研究・研修機構

 

 


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