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【テレワーク実態調査】勤務先にテレワーク制度がある会社は全体の1.5割程度

(出展:FinancebyKD.com)
(出展:FinancebyKD.com)

国土交通省は、6月、2016年度におけるテレワーク人口実態調査の結果を公表しました。2002年から開始された同調査は、普段仕事をする場所以外で働くやり方=テレワークの実態の把握を毎年行っており、今後のテレワークの普及促進策に役立てることを目的としています。

 

昨年度の調査では、勤務先にテレワーク制度などがあると回答した割合が、雇用者全体のうち14.2%となり、制度普及に向けた余地がまだ十分に残されていることがわかりました。

 

働き方改革の一環として政府も普及を進めているテレワーク制度。今年はどのような調査結果となったのでしょうか。

 

 

目次

  1. 1 テレワーク制度がある企業、全体の14.2%
  2. 1-1 短時間、低頻度のテレワーカーは増加傾向
  3. 1-2 自宅以外でテレワークする理由
  4. 2 業種別ではIT業界が突出
  5. 2-1 ITの3割はテレワーカー
  6. 2-2 ソフトウェア開発とライティングがテレワーク向け?
  7. 3 世界最先端IT国家創造宣言

 

1 テレワーク制度がある企業、全体の14.2%

テレワークとは、同調査によれば、ICT(情報通信技術)等を活用し、普段仕事を行う事業所・仕事場とは違う場所で仕事をすることを指します。政府は一億総活躍社会の実現のため、多様化したライフスタイルに合わせて働き方改革を推進。子育て中の女性や定年退職した高齢者の就労促進のため、勤め先以外でも仕事ができるように、経済界を通して各企業に呼びかけています。

 

調査によれば、勤務先にテレワーク制度等があると回答した割合は、雇用者全体のうちわずか14.2%にとどまりました。また「制度あり」と回答した雇用者のうち、実際、テレワークで働いている(テレワーカー)割合は54.6%となりました。

 

テレワーク2

(参照:国土交通省「平成28年度テレワーク人口実態調査」)

 

一方、「テレワーク制度なし」と回答した雇用者におけるテレワーカーの割合は6.5%となりました。
制度等があると回答した雇用者のうち過半数は実際にテレワークを行っていることがわかり、導入企業ではテレワークが普及している実態が浮き彫りとなりました。

 

・勤務先にテレワーク制度があるかないか

テレワークあり 社員全員を対象にテレワークが規定 3.0% 14.2%
一部社員を対象にテレワークが規定 4.8%
規定はないが会社や上司がテレワークを認めている 5.1%
試行実験(トライアル)を行っている 1.2%
テレワークなし 認めていない 49.5% 85.5%
わからない 36.0%

(参照:国土交通省「平成28年度テレワーク人口実態調査」)

 

テレワーク

 

 

 1-1 短時間、低頻度のテレワーカーは増加傾向

報告書では「在宅型」以外にも、「サテライト型」や「モバイル型」が同程度存在することが明らかになりました。

 

サテライト型とは、自社がもつ出張所などの他事業所、または複数の企業や個人で利用するシェアオフィスやコワーキングスペース※等でテレワークを行うテレワーカーを指します。

 

一方、モバイル型は、顧客先・訪問先・外回り先、喫茶店・図書館・出張先のホテル等、または移動中にテレワークを行うテレワーカーを指します。

 

テレワークの方法としてモバイル型が最も多く51.7%となりましたが、1日あたりの仕事時間では、サテライト型が4.1時間と最も多くなりました。
国交省は長時間の仕事をするには、カフェや自室ではなく、集中して取り組むことができる仕事場が向いているのではないかと分析しました。

 

  在宅型 サテライト型 モバイル型
テレワーカーの割合 47.1% 51.0% 51.7%
週1日以上テレワークを実施しているテレワーカーの割合 60.8% 49.3% 50.2%
1日当たりの仕事時間 2.9時間 4.1時間 2.2時間

 

 

1-2 自宅以外でテレワークする理由

自宅以外でテレワークをする理由として、「仕事に集中でき業務効率が高まる」が最も多く、45.9%を占めました。

 

このほか、「外出中の空き時間を有効に活用できる」32.4%、「移動中の時間を無駄にしたくないから」31.9%、「移動中の時間を無駄にした直行や直帰ができ移動時間を短縮できるからないから」25.7%などが続きました。

 

テレワークするさいにも、仕事をする場所と休む場所をきっちり分けたいという心理があらわれた結果となりました。

 

自宅以外

(参照:国土交通省「平成28年度テレワーク人口実態調査」)

 

※ コワーキング(Coworking)とは、異なる業種の人達が1つのスペースを共有して各々の仕事をすること。シェアオフィスと違い、区切りがなく、オープンスペースであることが多い。

 

 

2 業種別ではIT業界が突出して多い

職種や業種からみたテレワークの普及度合いに関する報告によると、雇用型のテレワークにおいて、ITを中心とした情報通信業の割合が突出して高く、3割を超えました。また、自営型では49.2%と半数近くがテレワークをしていることがわかりました。

 

一方、雇用型で最も低かったのは運輸業で7.5%、その他の業種では大差がありませんでした。

 

 

2-1 ITの3割はテレワーカー

情報通信業に従事する者で雇用されているテレワーカーは32.3%となり、全業種の中で最も高い割合となります。つづいて建設業16.2%、製造業15.3%、金融・保険業15.0%と、他業種では1割前後となりました。

 

・雇用型テレワーカーの業種別割合

順位 業種 割合
1 情報通信業 32.3%
2 建設業 16.2%
3 製造業 15.3%
4 金融・保険業 15.0%
5 農林水産・鉱業 14.8%
6 不動産業 13.2%
7 サービス業 11.5%
8 公務員 11.4%
9 卸・小売業・飲食業 11.3%
10 運輸業 7.3%

 

一方、自営業を営む情報通信業の49.2%がテレワーカーで、そのほか金融・保険業34.1%、サービス業23.1%、製造業19.2%とつづき、農林水産・鉱業が12.9%と最も低くなりました。

 

・ 自営型テレワーカーの業種別割合

順位 業種 割合
1 情報通信業 49.2%
2 金融・保険業 34.1%
3 サービス業 23.1%
4 製造業 19.2%
5 建設業 17.1%
6 不動産業 15.9%
7 運輸業 14.8%
8 卸・小売業・飲食業 13.7%
9 農林水産・鉱業 12.9%
10 その他 22.8%

 

2-2 ソフトウェア開発とライティングがテレワーク向け?

職種別にみると雇用型では、情報通信業におけるソフトウェア開発などのテレワーカーが35.8%と最も多くなります。ついで、クリエイティブ・デザイン27.6%、営業26.7%、研究開発・技術(電気、機械など)となります。

 

・ 職業別の雇用型テレワーカー割合

順位 業種 割合
1 研究開発・技術(ソフトウェア等) 35.8%
2 クリエイティブ・デザイン 27.6%
3 営業 26.7%
4 研究開発・技術(電気、機械等) 23.1%
5 研究開発・技術(素材、食品等) 22.5%
6 研究開発・技術(建築、土木) 20.9%
7 専門職 13.1%
8 事務・企画 11.7%
9 建設/建築従事者 11.4%
10 サービス・メンテナンス 7.8%
11 販売 7.1%
12 製造 5.2%

 

一方、雇用型ではライティングのテレワーカーが51.8%と最も多く、ついでプログラマー51.3%、クリエイティブ・デザイン40.0%、設計・CADデザイナーー38.7%とつづきました。

 

・職業別の自営型テレワーカーの割合

順位 業種 割合
1 ライティング 35.8%
2 プログラマー 27.6%
3 クリエイティブ・デザイン 26.7%
4 設計・CAD系デザイナー 23.1%
5 専門職 22.5%
6 教育関連 20.9%
7 製造 13.1%
8 農林漁業従事者 11.7%
9 サービス・販売 11.4%
10 建設/建築従事者 7.8%

 

 

3 世界最先端IT国家創造宣言

政府は2017年現在、世界最高水準のIT利活用社会の実現に向けて、IT戦略を成長戦略の要とし、世界最先端のIT国家になることを目標に掲げています。2013年に採択された世界最先端IT国家創造宣言のなかで、

 

「「ヒト」、「モノ」、「カネ」と並んで「情報資源」は新たな経営資源となるものであり、「情報資源」の活用こそが経済成長をもたらす鍵となり、課題解決にもつながる。ビッグデータやオープンデータに期待されるように、分野・領域を超えた情報資源の収集・蓄積・融合・解析・活用により、新たな付加価値を創造するとともに、変革のスピードを向上させ、産業構造・社会生活において新たなイノベーションを可能とする社会の構築につなげる必要がある」

 

と述べ、2020年を区切りに目標実現に取り組んでいる最中です。

 

テレワーカーは、世界最先端IT国家創造実現のための一つの指標に位置づけられており、今後も普及に向けた取り組みが期待されます。

 

 


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