世の中には社名が変更した会社の中で、ときには長すぎるものがあります。埼玉県上尾市に本部を構えるケータイショップ「もしもしモンキー」を運営する「もしもん株式会社」は2014年、社名を以下のように変更しました。
「株式会社あなたの幸せが私の幸せ世の為人の為人類幸福繋がり創造即ち我らの使命なり今まさに変革の時ここに熱き魂と愛と情鉄の勇気と利他の精神を持つ者が結集せり日々感謝喜び笑顔繋がりを確かな一歩とし地球の永続を約束する公益の志溢れる我らの足跡に歴史の花が咲くいざゆかん浪漫輝く航海へ」
届け出が出ている国内の会社のなかではもっとも社名が長く、文字数は137に及びます。その長すぎる社名に変更当時は各メディアで大きく話題となりました。
2017年現在も社名に変更はなく、順調に業績を伸ばしているようです。
ところで、国内メガバンクの一つである三菱東京UFJ銀行が2018年から「東京」の文字を取り除き、「三菱UFJ銀行」となることが、16日、わかりました。
変更理由は、親会社である三菱UFJファイナンシャル・グループと名称を同じにするためで、長い社名を短くするためではないと言われています。
目次
- 1 「東京」の文字がなくなり少し短く
- 1-1 金融の保護主義化の流れ対応
- 1-2 三菱東京UFJ銀行成立の沿革
- 2 社名が長い企業はメンドーくさい?
- 2-1 生命保険会社は名前が長い?
- 2-2 記入欄に入りきらない問題
1 「東京」の文字がなくなり少し短く
三菱UFJファイナンシャル・グループは、2018年4月より「三菱東京UFJ銀行」から「三菱UFJ銀行」に社名を変更する方針であることを明らかにしました。同社ニュースリリースによれば、法人貸出業務を一本化するため、三菱UFJ信託銀行の法人貸出業務を来年4月をめどに三菱東京UFJ銀行に移管する予定です。
(参照:三菱東京UFJ銀行ホームページ)
1-1 金融の保護主義化の流れに対応
三菱UFJ信託銀行は、三菱UFJホールディングスなどが保有する三菱UFJ国際投信株式会社の株式を譲り受け、完全子会社化する予定であることを発表しました。
この組織再編に合わせて、来年4月より同グループの中核である三菱東京UFJ銀行の商号を「株式会社三菱UFJ銀行(英名:MUFG Bank,Ltd.)」へと変更する予定です。
国内の低金利やトランプ米大統領による世界経済の保護主義の流れ、そして拡大するフィンテックを背景に、同社グループは昨年12月に資産運用会社である三菱UFJ投信株式会社と、国際投信投資顧問株式会社の合併を発表したばかり。流動する国際金融経済に迅速に対応するための「機能別再編」であることを強調しました。
・ 三菱UFJ投信株式会社の概要
事業内容 | 投資信託委託業、投資顧問業 |
---|---|
設立年月 | 1985年8 月 |
社長 | 金上孝社長 |
発行済株式総数 | 124,098株 |
資本金 | 20億円 |
従業員数 | 442人 |
営業利益 | 2013年3月期 486億円 |
2014年3月期 537億円 |
・ 国際投信投資顧問株式会社
事業内容 | 投資信託委託業、投資顧問業 |
---|---|
設立年月 | 1983年3月 |
代表者 | 田中裕之社長 |
発行済株式総数 | 12,998株 |
資本金 | 26.8億円 |
従業員数 | 329人 |
営業利益 | 2013年3月期 342億円 |
2014年3月期 368億円 |
1-2 三菱東京UFJ銀行成立の沿革
2004年、国内二大メガバンクが経営統合を発表し、総資産190兆円に及ぶ世界最大の銀行が誕生したことで、多くの国内および海外の経営者に衝撃を与えました。
首都圏に強い三菱東京と、中部や近畿の店舗網が充実しているUFJが統合することで地域補完により拠点網が整備されるうえ、大企業に強い三菱東京と中小企業に強いUFJとは顧客層の面でも統合効果が大きく、まさに、非常に良い組合せになる、と当時の合併について税理士法人の中央総研は振り返ります。
・ 合併後の国内3大銀行の比較(2004年当時)
三菱UFJ | みずほ | 三井住友 | |
---|---|---|---|
総資産 | 188.7兆円 | 137.7兆円 | 102.2兆円 |
業務純益 | 14,494億円 | 9,541億円 | 10,001億円 |
従業員数 | 40,709人 | 27,681人 | 22,348人 |
店舗数 | 881店舗 | 704店舗 | 455店舗 |
不良債権比率 | 5.7% | 4.4% | 5.0% |
(参照:中央総研ニュース 2004年7月25日付)
三菱東京銀行は、1870年に岩崎弥太郎によって設立された九十九商会が前身となります。73年には三菱商会、74年に郵便汽船三菱会社と改称し、80年に同社から独立した三菱為換店が第百十九国立銀行の経営を継承し、1919年に三菱銀行となりました。
戦後、GHQによる経済民主化政策の一つである財閥解体により、三菱は三井、住友、安田とともに強制的に解散に追い込まれました。48年に三菱銀行も千代田銀行に改名しますが、53年に三菱銀行へと戻しました。96年に東京銀行※1と合併して三菱東京銀行となり、2006年、三和銀行※2と東海銀行※3の合併により誕生したUFJ銀行と経営統合を行うことで合意し、三菱東京UFJ銀行が誕生することとなりました。
・三菱東京UFJ銀行誕生の沿革
(参照:三菱東京UFJ銀行ホームページ)
※ 1 東京銀行は1946年に設立。貿易の振興と取引の円滑化のため、世界各国に拠点を持っていいた「横浜正金銀行」が前身となる。
※ 2 三和銀行は1933年に設立。大阪を中心として、関西圏の商業・生活に深く根付いた「三十四銀行」「山口銀行「鴻池銀行」の合併により誕生した。
※ 3 東海銀行は1941年に設立。愛知県内で高い実績を残してきた「愛知銀行」「名古屋銀行」「伊藤銀行」の合併のより誕生した。
2 社名が長い企業はメンドーくさい?
前述の株式会社あなたの幸せが私の幸せ」のほかにも、社名が長い企業はいくつかあります。パシフィックゴルフグループインターナショナルホールディングス(PGGIH)株式会社、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社、損保ジャパン日本興亜DC証券株式会社、損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント株式会社などです。
2-1 生命保険会社は名前が長い?
生命保険業界では社名が長い企業が比較的多く見られます。「損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社」のほかには、「三井住友海上あいおい生命株式会社」、「東京海上日動火災保険株式会社」などが該当するのではないしょうか。
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社は、国内損害保険事業を中心に展開するSONPOグループの系列であり、2011年、損保ジャパンひまわり生命保険と日本興亜生命保険が合併して誕生。その後、現社名に商号変更しました。
2-2 記入欄に入りきらない問題
社名がこれだけ長いと、各種書類の保険会社の記入欄に書ききれないといった不満も多く、会社の判別がつく範囲内で短縮するなどの工夫を凝らす人もいるようです。
なお、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社はホームページ上の「よくあるご質問」コーナーにおいて、「省略して書いてもいいですか?」との問いに対して、「“SJNKひまわり生命”とご記入ください」と回答しています。(参照:損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険)
企業名が長い場合と短い場合とで利用者にとってはどっちが覚えやすいのでしょうか。少なくとも来年度からは三菱UFJ銀行と短くて済むようです。
(参照:損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険)