日本政府観光局(JNTO)によると、昨年日本を訪れた外国人観光客数は2403万人にのぼりました。東京、大阪、京都のゴールデンルートをはじめ、北海道や沖縄など定番の観光地が外国人に人気となっている模様です。観光庁は年間4000万人の外国人観光客数を目標に掲げており、インバウンド産業の拡大を狙います。
また、大阪観光局は今年7月、2017年上半期(1月〜6月)の来阪外客数が過去最高となる531万人となったと発表しました。大阪を訪れる外国人は2011年以降、右肩上がりに増加しており、昨年は941万人に達しました。同局によれば、今年は1000万人超えはほぼ確実と見られています。
本記事では大阪観光局公表の「2017年 上半期来阪外客数」をもとに大阪および日本全国を訪れる外国人観光客の実態を詳細に見ていきます。
目次
- 1 昨年の来阪外客誘数940万人
- 1-1 中国人観光客の半数が来阪
- 1-2 米紙による「今年行くべき世界の52都市」に初選出
- 2 上半期ですでに530万人突破
- 2-1 韓国人の好みは東京よりも大阪?
- 2-2 6回以上大阪を訪れた韓国人16%
- 2-3 大阪を訪れる理由、「魅力的だったから」38%
1 昨年の来阪外客誘数940万人
大阪観光局によると、昨年大阪を訪れた外国人観光客は前年比224万人増加となる940万人となりました。来阪外客数は東日本大震災以降、順調に伸びつづけ、2015年には前年比340万人増の過去最大の上昇幅を記録しました。
・来阪外客数の推移
2009年 | 170万人 |
---|---|
2010年 | 235万人 |
2011年 | 158万人 |
2012年 | 203万人 |
2013年 | 263万人 |
2014年 | 376万人 |
2015年 | 716万人 |
2016年 | 940万人 |
(大阪観光局公表資料より作成)
1-1 中国人観光客の半数が来阪
来阪外客を国・地域別に見ると、日本を訪れた中国人観光客637万人のうち、半数以上に当たる373万人が大阪を訪れたことがわかりました。次いで多かったのが韓国157.8万人、台湾125.4万人、香港62.7万人、アメリカ31.9万人、タイ27.0万人、オーストラリア19.6万人、マレーシア18.5万人、インドネシア12.9万人、フィリピン12.8万人、シンガポール9.5万人と続きました。
・ 2016年の国、地域別に見た来阪外客数
順位 | 国・地域 | 大阪 | 全国 |
---|---|---|---|
1 | 中国 | 372.9万人 | 637.4万人 |
2 | 韓国 | 157.8万人 | 509万人 |
3 | 台湾 | 125.4万人 | 416.8万人 |
4 | 香港 | 62.7万人 | 183.9万人 |
5 | アメリカ | 31.9万人 | 124.3万人 |
6 | タイ | 27.0万人 | 90.2万人 |
7 | オーストラリア | 19.6万人 | 44.5万人 |
8 | マレーシア | 18.5万人 | 39.4万人 |
9 | インドネシア | 12.9万人 | 27.1万人 |
10 | フィリピン | 12.8万人 | 34.8万人 |
11 | シンガポール | 9.5万人 | 36.2万人 |
12 | カナダ | 9.2万人 | 27.3万人 |
13 | ベトナム | 9.0万人 | 23.4万人 |
14 | ドイツ | 6.2万人 | 18.3万人 |
15 | イギリス | 5.6万人 | 29.2万人 |
(大阪観光局公表資料より作成)
1-2 米紙による「今年行くべき世界の52都市」に初選出
大阪は今年1月、ニューヨーク・タイムズ紙が選ぶ「52 Places to go in 2017(今年行くべき世界の52の都市)」に初めて選ばれました。大阪は、ミシュランガイドに掲載されるレストランが数多くあるほか、「たこ焼き」「お好み焼き」といった独自の食文化が高く評価されました。
(参照:The New York Times「52 Places to Go in 2017」)
2 上半期ですでに530万人突破
今年1月〜6月の上半期における来阪外客数は531.3万人に達し、年間1000万人超えはほぼ確実と見られています。
2-1 韓国人の好みは東京よりも大阪?
国・地域別見ると、今年上半期で大阪を訪れた外国人は、中国人が174.7万人と最も多く、次いで韓国121.4万人、台湾71.5万人、香港36.8万人、アメリカ18.2万人、タイ15.4万人、マレーシアおよびオーストラリア10.7万人、インドネシア9.3万人、フィリピン8.9万人となりました。
韓国人では東京73.5万人に対して大阪121.4万人となり、2倍近く開きがあることがわかりました。
・ 2017年上半期(1月〜6月)の国、地域別に見た来阪外客数
順位 | 国・地域 | 大阪 | 全国 |
---|---|---|---|
1 | 中国 | 174.7万人 | 328.2万人 |
2 | 韓国 | 121.4万人 | 339.6万人 |
3 | 台湾 | 71.5万人 | 228.8万人 |
4 | 香港 | 36.8万人 | 108.3万人 |
5 | アメリカ | 18.2万人 | 69.7万人 |
6 | タイ | 15.4万人 | 53.1万人 |
7 | オーストラリア | 10.7万人 | 26.3万人 |
8 | マレーシア | 10.7万人 | 21.4万人 |
9 | インドネシア | 9.3万人 | 18.5万人 |
10 | フィリピン | 8.9万人 | 22.5万人 |
11 | ベトナム | 6.9万人 | 7.0万人 |
12 | シンガポール | 5.7万人 | 17.8万人 |
13 | フランス | 5.2万人 | 13.0万人 |
14 | カナダ | 4.7万人 | 15.3万人 |
15 | ドイツ | 3.4万人 | 9.8万人 |
(大阪観光局公表資料より作成)
2-2 6回以上、大阪を訪れた韓国人16%
国・地域別に大阪の訪問回数を調査したところ、6回以上訪れたのは韓国16%が最多で、次いで台湾14%、マレーシア7%、欧州3カ国(英・独・仏)、中国5%、タイおよび香港4%と続きました(参照:大阪観光局「2017年第1期外国人動向調査」)。大阪は韓国人、台湾人から特に人気の観光地となっていることがわかりました。
・ 大阪の訪問回数
1回 | 3回 | 6回以上 | |
---|---|---|---|
全体 | 77% | 5% | 6% |
中国 | 69% | 8% | 5% |
韓国 | 63% | 3% | 16% |
台湾 | 70% | 4% | 14% |
香港 | 73% | 4% | 4% |
フィリピン | 88% | 3% | 1% |
マレーシア | 80% | 0% | 7% |
タイ | 69% | 8% | 4% |
インドネシア | 82% | 0% | 0% |
オーストラリア | 79% | 9% | 1% |
アメリカ | 82% | 5% | 5% |
英・独・仏 | 75% | 6% | 6% |
インド | 92% | 0% | 4% |
カナダ | 95% | 0% | 0% |
(大阪観光局公表資料より作成)
2-3 大阪を訪れる理由、「魅力的だったから」38%
訪問地に大阪を選んだ理由として最も多かったのが「大阪の観光地が魅力的だったから」で38%でした。次いで「大阪の食事が魅力的だったから」30%、「大阪でのショッピングが魅力的だったから」23%、「京都、奈良等を回る拠点として」21%、「誰かに勧められたから」10%、「旅行予算が適当だったから」6%、「休日日数との関係」5%と続きました。
理由内容 | 割合 |
---|---|
大阪の観光地が魅力的だったから | 38% |
大阪でのショッピングが魅力的だったから | 23% |
京都、奈良等を回る拠点として | 21% |
誰かに勧められたから | 10% |
旅行予算が適当だったから | 6% |
休日日数との関係 | 5% |
東京に匹敵するほどの人気観光地となった大阪。外国人観光客数年間4000万人の実現は東と西の両雄の双肩にかかっています。