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【中国企業初】ファーウェイ、生産工場を日本に設立?

(出展:ZDNet)
(出展:ZDNet)

人件費の安い中国で製品を生産するのは過去の話となりつつあります。
電子機器メーカーのファーウェイ(華為技術)が6月、通信機器の生産工場を年内にも日本に新設する予定であることが一部報道で明らかになりました。中国企業が日本に工場を設立するのは初めてのこととなります。

 

スマートフォンなどの製造を得意とするファーウェイは、スマートフォン市場シェアで一時サムスンを追い抜くなど、通信事業やネットワーク事業で拡大をつづける中国を代表する大企業です。

 

かつては日本人の人件費の高さを理由に、日本で製品を生産するメリットは少ないと思われていましたが、中国人の人件費上昇を受けて、その差はなくなりつつあります。

 

中国企業初との報道に中国国内でも反響は大きい模様。中国で作るよりも日本で作ったほうが安い—もしかしたら、そのような話も遠い未来のことではないのかもしれません。

 

 

目次

  1. 1 新工場、早ければ年内にも稼働?
  2. 2 世界3位のスマートフォンメーカー
  3. 2-1 オッポを抜いて中国トップに返り咲く
  4. 2-2 中国ネットユーザーの反応は?
  5. 3 中国企業、日本に続々進出
  6. 3-1 ソフトバンク、中国企業と次世代通信回線を開発
  7. 3-2 買収された日本の大企業たち

 

1 新工場、早ければ年内にも稼働?

日本経済新聞社(2017年6月29日付)によると、ファーウェイは、千葉県船橋市のDMG森精機工場の跡地に工場を新設する予定で、年内末までの稼働を目標としています。

 

工場ではスマートフォン関連部品やその他通信機器を製造する予定。ファーウェイは工場設置プロジェクトに4450万ドル(約50億円)の投資を計画しており、場合によっては追加投資も考慮しているとのことです。また、一部報道では、日本の技術者を取り込む狙いもあるのではないかと指摘されます。

 

ファーウェイは昨年9月、エレクトロニクスメーカーのフレックスインディア(FlexIndia)と共同で、インドでスマートフォンの製造を開始すると発表したばかり。同社らは2017年末までにフレックス製造工場で300万台を生産することができると主張しており、今後もグローバル企業として世界規模で展開する方針です。

 

 

2 世界3位のスマートフォンメーカー

スマートフォン市場でサムスンとアップルに次ぐ世界シェア10%を誇るファーウェイ。昨年の出荷台数は前年同期比30.2%の増加となる1億9330万台でした。

 

 

2-1 オッポを抜いて中国トップに返り咲く

ファーウェイは1987年、中国・深センに設立。ネットワーク事業や法人向けICTソリューション事業などを手がけ、現在では17万人の従業員を抱えます。

 

今年第1四半期の中国国内携帯電話市場で1位だったオッポ※(OPPO)を抜いて、国内トップに返り咲きました。市場調査会社Canalysによると、2017年1月〜3月の間で、ファーウェイのスマートフォン出荷台数は前年比25%増の2100万台に達し、オッポの2000万台を追い抜きました。

 

・世界のスマートフォンメーカーのシェア

世界シェア

(参照:IDC)

 

ファーウェイのリチャード・ユー(Richard Yu)CEOは、昨年6月のカンファレンスの席上で「米アップルや韓国サムスンを追い抜き、世界トップのスマートフォンメーカーになる」と宣言しました。(参照:Forbes JAPAN

 

 

2-2 中国ネットユーザーの反応は?

ファーウェイが日本に生産工場を設けるとの報道は、中国国内でも大きな反響を読んでいるそうです

 

中国国内の情報発信メディア「レコードチャイナ」(6月29日付)は、中国のネットユーザーから、

 

「とても正しい戦略だと思う」
「先進的な生産技術が日本にはある」
「その市場に参入しようと思ったら現地に工場を持つことが必要」
「日本製品をボイコットしたい愛国青年はどうなる?」
「今後の反日デモで華為のスマホを持つのは危険ではないだろうか」
「中国人によるメード・イン・ジャパンだ」
「華為の日本市場占領の始まり」
「華為は中国で唯一の国際化企業」

 

などの声が寄せられたと紹介しました。

 

※ オッポは、2004年に設立。おもに電機機器の製造・販売を手がける。2011年からスマートフォン市場に参入。2016年7月、ファーウェイを抑えて初めて売上トップに立つ。中国国内のスマートフォン市場で22.9%のシェアを持つ。

 

 

3 中国企業、日本に続々進出

ファーウェイの競合相手であるZTE(中興通訊)は、昨年、東京にIoT技術を開発するための研究開発センターを設立しました。さらに今年4月、ソフトバンクと協力して、4.5GHz帯を利用した首都圏全体で第5世代携帯電話通信システム(5G)の運用テストを発表しました。

 

 

3-1 ソフトバンク、中国企業と次世代通信回線を開発

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(出展:Business Wire)

ZTEの向際鷹チーフサイエンティストは、両社の技術協力について、

 

「我々はMassive MIMOなどの5Gキーテクノロジーにおいてソフトバンクと長期的なパートナーシップを結んでおり、5G NR対応を加速するために活動を拡張することができたことを喜ばしく思います。M-ICTモバイル技術を牽引するグローバルベンダーとして、ZTEは5Gに対して十分な投資を行い、5Gエコシステムの成熟を促進するために業界のパートナー各社と協力してまいります。ZTEはお客様に対して5Gのエンドツーエンドソリューションを提供できる最初のベンダーのひとつになることができると、当社は確信しております」(参照:ZTEニュースリリース

 

と述べました。

 

 

3-2 買収された日本の大企業たち

中国企業により合併・買収された日本企業は近年増加しています。

 

2009年、蘇寧電器が国内大手家電量販店のラオックスを買収。
昨年5月に台湾の鴻海精密工業がシャープの株式の66%を3888億円で買収したニュースは記憶に新しく、また、昨年6月、ソフトバンクはスマートフォン向けゲームの開発を手がける子会社スーパーセルをテンセントに73億ドル(約7700億円)で売却すると発表したばかりです。

 

さらに、現在半導体事業の売却問題で難航している東芝は、昨年3月、中国の美的集団グループに白物家電事業を約537億円で売却しました。

 

GDP世界第2位を裏付けるかのように勢いを増す中国企業に対して、日本企業はどのように立ち向かっていくのか。今後の動向に注目です。

 

※ ZTEは1985年に創業された中国最大の通信機器メーカー。スマートフォンやモバイルプロジェクターの製造・販売を手がける。現在、香港および深圳の証券取引所に上場しており、世界に約6万人の従業員を抱えている。
※ 美的グループ(美的集団股份有限公司)は1968年創業の老舗家電メーカー。2015年12月31日時点での連結総資産は2兆1684億円にのぼる。

 

 


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