
近年のeコマース※の発達により小口配送の需要は年々増加しています。Amazonや楽天をはじめとするECサイトは右肩上がりの成長を続け、2015年には7兆円規模に達しました。
そしてEC産業の拡大の影響を受けたのが商品の配送を担う小口配送業です。正式には「貨物軽自動車運送業」と呼び、荷主から商品(荷物)を受け取り、軽自動車などで届け先に配送します。
軽トラックが1つあれば仕事が成り立つため、低リスク・低資金で独立開業できるビジネスとして小口配送業が注目されています。
※ eコマース…。ECとも表記される。電子商取引の意味で、インターネット上で行われる商品売買のこと。electronic commerceの略。
※ ECサイトとはインターネット上で商品の販売を行っているウェブサイトのこと。
目次
- 1 軽トラ開業
- 1-1 開業手続きに必要なもの
- 1-2 法人化のメリット
- 2 軽トラックで町おこし? 話題の軽トラ市とは
1 軽トラ開業
宅配便といえばヤマト運輸や佐川急便などの大手民間宅配業者が有名です。小口配送の仕事の多くはこういった大手の下請け業務になります。たとえば佐川急便はヤマトのように全国各地に営業所を配置せず、1店舗が管轄するエリアが広範囲なため、社員が配送を行うのではなく、地元の下請配送業者に委託しています。
そのほか軽貨物運送業のフランチャイズに加入する方法もあります。将来の独立を視野にノウハウを学ぶためフランチャイズから始める脱サラ組も多いようです。
1-1 開業手続きに必要なもの
貨物軽自動車運送業は、軽トラック1台で開業することができます。ただし、乗用タイプの軽自動車は商用トラックに構造を変更する必要があります。また、車庫も必要です。原則として営業所に併設していることが望ましいですが、できない場合、営業所から2キロ以内に用意しなければなりません。
さらに運輸局への届出等が必要です。運賃料金表や、住民票、車検証のコピーの提出が求められます。法人として開業する場合は、住民票の代わりに登記簿謄本が必要です。
これらの届出書は、営業所を管轄する運輸支局へ提出します。
・手続きに必要な届出書
貨物軽自動車運送事業経営届出書 | 2部(提出用と控え用) |
---|---|
運賃料金表 | 2部(提出用と控え用) |
住民票 | コピー可 |
車検証 | コピー可 |
・ 貨物軽自動車運送事業経営届出書の様式
1-2 法人化のメリット
個人事業主として始めることの多い軽貨物業ですが、より多く稼ぎたいなら法人化したほうがいいでしょう。個人と法人とでは信用力に差がありますし、取引先が増えればスタッフ(ドライバー)を増やさざるを得ません。ドライバーの数が売上に直結する業界です。
また節税面においても法人化するメリットがあります。会社は、個人よりも支払う税金の種類が多いため、一見すると不利のように見えます。しかし前述のとおり、個人事業主にかかる所得税は超過累進税のため、一定の所得を超えると、会社のほうが有利になります。一般的には1000万円前後の売上を目安として、個人事業から法人化したほうがいいと言われています。
・売上ごとにかかる個人と法人の税額の比較※
売上 | 法人※1 | 個人※2 |
---|---|---|
200万円 | 60.1万円 | 18.6万円 |
300万円 | 86.6万円 | 33.7万円 |
400万円 | 113.2万円 | 57.1万円 |
500万円 | 139.7万円 | 87.0万円 |
600万円 | 166.2万円 | 120.7万円 |
700万円 | 192.8万円 | 154.2万円 |
800万円 |
219.3万円 |
188.0万円 |
900万円 | 255.9万円 | 226.0万円 |
1000万円 | 292.4万円 | 264.5万円 |
1300万円 | 402.1万円 | 408.2万円 |
1500万円 | 475.3万円 | 505.6万円 |
2000万円 | 658.1万円 | 754.5万円 |
※ 1会社は資本金の額(又は出資金の額)が1億円以下で、かつ法人税額が年1,000万円以下の法人。従業員数0人で試算。税額控除については考慮せず。なお、法人の場合、役員報酬しだいで概算税額が変動します。
※ 2 個人は扶養・控除なしで試算しています。おおよその目安なので参考資料として考えてください。
2 軽トラックで町おこし? 話題の軽トラ市とは
地方を元気にしようと軽トラックを使った町おこしの一環として「軽トラ市(いち)」が行われています。
軽トラ市とは軽トラックの荷台を店舗に見立てた朝市です。もとは2005年、岩手県において、自分で作ったものを直販したい生産者が軽トラに作物を積んで消費者に販売したところ、安くて新鮮な野菜・果物が購入できると評判を呼び、全国に広がりました。
現在では地方と地方を結ぶ軽トラ市ポータルサイトが構築され、軽トラ市へ行きたい消費者への情報提供や、販売者として参加したい商工関係者様・地方自治体への協力、すでに軽トラ市を実施している地域同士の連携強化などを行っています。(参照:軽トラ市ネットワーク)
(▲軽トラ市の様子)
ドライバー不足と言われる昨今の運送業界。軽トラ1つで開業できる小口配送業にビジネスチャンスを見出してはいかがでしょうか。