2015年に改正学校教育法が改正され、昨年4月、小中一貫教育を行う新たな学校の種類の制度として義務教育学校がスタートしました。
目次
1 改正法の内容を確認
改正法では、小学校から中学校までの義務教育を行う小中一貫校を義務教育学校という名称の学校として規定しました。市区町村の教育委員会が既存の小中学校を義務教育学校にするかどうかを判断することができます。
2 教育課程の区割りが自由
義務教育学校では教育期間は9年間とされ、前期課程と後期課程に分けられます。従来、小学校は6年間、中学あ3年間の6・3制が採用されていましたが、新制度では小学校5年間、中学校4年間とする5・4制や、4(前期)・3(中期)・2(後期)制など独自の区切りをすることができます。中学校で学ぶ学習内容を小学校段階で先取りしたり、教育内容の実施学年を入れ替えたりすることも可能です。
文科省によると、開校済み・開校予定を合わせた計136校の義務教育学校の学年の区切りは、「4・3・2制」が57%、「6・3制」が12%、「検討中・未定」が24%となりました。施設形態は小学校段階と中学校段階が同じ場所にある「一体型」が80%を占め、「隣接型」と「分離型」が各4%でした。(参照:毎日新聞)
・ 平成28年度4月におけるおもな義務教育学校(13都道府県)
都道府県 | 学校名 | 区切り |
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北海道 | 里町立知床ウトロ学校など(その他1校) | 6-3 |
岩手県 | 大槌町立大槌学園 | 4-3-2 |
山形県 | 新庄市立萩野学園 | 4-3-2 |
茨城県 | つくば市立春日学園義務教育学など(その他1校) | 4-3-2 |
千葉県 | 市川市立塩浜学園 | 4-3-2 |
東京都 | 品川区立品川学園など(その他5校) | 4-3-2 |
神奈川県 | 横浜市立義務教育学校霧が丘学園 | 6-3 |
石川県 | 珠洲市立宝立小中学校など(その他1校) | 4-3-2 |
長野県 | 信濃町立信濃小中学校 | 4-3-2 |
大阪府 | 守口市立さつき学園 | 6-3 |
兵庫県 | 神戸市立義務教育学校港島学園 | 6-3 |
高知県 | 高知市立義務教育学校行川学園などなど(その他1校) | 4-3-2 |
佐賀県 | 大町町立小中一貫校大町ひじり学園 | 4-3-2 |
(参照:文科省「小中一貫 教育の制度化に伴う導入意向調査について」)
また、義務教育学校は22校、小中一貫型小学校・中学校は115校設置されていることがわかりました。義務教育学校は今年の4月以降、全国で114校の開校予定です。
3 教員は既存免許の利用が可能
義務教育学校では、教員は既存の小中学校の教員免許をそのまま活用することができます。ただし、原則小学校と中学校の両方の免許を持つ者に限られます。どちらか一方の免許しか持たない場合は、当分の間、それぞれ義務教育学校の前期課程または後期課程の主幹教諭、指導教諭、教諭または講師となることができます。