近年の訪日外国人増加に伴い、お土産として地元の食べ物やお菓子の購入額が相当の規模に達したことを受け、農林水産省は7月、日本産農林水産物・食品の購入状況をはじめて公表しました。
報告書によると、昨年の訪日外国人旅行者のお土産のうち食料品は2897億円で、買い物全体の約2割を占めました。なかでも日本のお菓子類は人気で1308億円におよびます。
今後も増加が見込まれている外国人観光客数。外国人に人気のお土産で、土産産業が今注目されています。
目次
- 1 お土産代、旅行消費額の4割を占める
- 1-1 4年前の3倍以上に拡大
- 1-2 化粧水、医薬品などが最も多く5321億円
- 2 国別では中国人が3分の1以上を占める
- 2-1 4年前の3倍以上に拡大
- 2-2 化粧水、医薬品などが最も多く5321億円
1 お土産代、旅行消費額の4割を占める
訪日外国人旅行者の日本滞在中の旅行消費額は、昨年は約3.75兆円(前年比7.8%増加)で、このうち買い物代(お土産代)は1.43兆円(38.1%)におよびました。
このほか宿泊費は10.1兆円(全体の27.1%)、飲食費0.76兆円(20.2%)、交通費0.43兆円(11.4%)、娯楽・サービス費0.11兆円(3.0%)となります。
1-1 4年前の3倍以上に拡大
外国人旅行者の旅費内訳の推移をみると、昨年の旅行消費額は2012年の3倍以上に拡大しました。
2012年に1.08兆円だった旅行消費額は、2014年には2兆円を突破、2015年には前年比71%増で3.48兆円となりました。
・外国人旅行者の旅費内訳の推移
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | |
買い物代 | 0.34 | 0.46 | 0.71 | 1.45 | 1.43 |
宿泊費 | 0.37 | 0.48 | 0.61 | 0.90 | 1.01 |
飲食費 | 0.22 | 0.29 | 0.43 | 0.64 | 0.76 |
交通費 | 0.12 | 0.15 | 0.22 | 0.37 | 0.43 |
娯楽・サービス | 0.03 | 0.03 | 0.05 | 0.11 | 0.11 |
全体 | 1.08 | 1.42 | 2.03 | 3.48 | 3.75 |
(観光庁公表資料より作成)
(参照:農林水産省資料)
1-2 化粧水、医薬品などが最も多く5321億円
買い物(お土産)の内訳をみると、昨年は「化粧品・香水・医薬品・健康グッズ・トイレタリー」が5321億円で最も多くなりました。
次いで、「服(和服以外)・かばん・靴」2810億円、「電気製品」1214億円、「その他食料品・飲料・酒・タバコ」1589億円、「菓子類」1308億円、「カメラ・ビデオカメラ・時計」923億円、「マンガ・アニメ・キャラクター関連商品・書籍・絵葉書・CD・DVD」529億円、「和服(着物)・民芸品」343億円となります。
内訳 | 2016年 | 2015年 |
---|---|---|
菓子類 | 1308億円 | 1212億円 |
その他食料品・飲料・酒・たばこ | 1589億円 | 1390億円 |
カメラ・ビデオカメラ・時計 | 923億円 | 1605億円 |
電気製品 | 1214億円 | 1694億円 |
化粧品・香水・医薬品・健康グッズ・トイレタリー | 5321億円 | 4701億円 |
和服(着物)・民芸品 | 343億円 | 364億円 |
服(和服以外)・かばん・靴 | 2810億円 | 3110億円 |
マンガ・アニメ・キャラクター関連商品・書籍・絵葉書・CD・DVD | 529億円 | 463億円 |
総計 | 1兆4261億円 | 1兆4539億円 |
(観光庁公表資料より作成)
(参照:農林水産省資料)
2 国別では中国人が3分の1以上を占める
お土産の購入者を国別にみると、中国、台湾、韓国、香港、タイ、アメリカの6カ国の国・地域の訪日外国人旅行者が全体の8割を占めていたことがわかりました。
2-1 中国人の購入額、507億円
菓子類の国別の購入額をみると、中国人が207億円と全体の39%を占めて最も多くなりました。ついで、台湾234億円(18%)、韓国226億円(17%)、香港91億円(7%)、タイ75億円(6%)、アメリカ27億円(2%)、その他149億円(11%)とつづきます。
菓子類の購入額は2012年と比較すると現在は3倍以上に増加しており、今後もこの傾向は続くと予測されます。
・ 国別菓子類購入額の推移
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | |
中国 | 122億円 | 123億円 | 246億円 | 464億円 | 507億円 |
台湾 | 92億円 | 162億円 | 216億円 | 232億円 | 234億円 |
韓国 | 61億円 | 84億円 | 103億円 | 175億円 | 226億円 |
香港 | 32億円 | 49億円 | 63億円 | 93億円 | 91億円 |
タイ | 38億円 | 72億円 | 80億円 | 77億円 | 75億円 |
アメリカ | 12億円 | 17億円 | 18億円 | 26億円 | 27億円 |
その他 | 57億円 | 110億円 | 110億円 | 144億円 | 149億円 |
全体 | 414億円 | 617億円 | 835億円 | 1212億円 | 1308億円 |
(観光庁公表資料より作成)
(参照:農林水産省資料)
2-2 食品類の購入額も4年で約3.5倍に
その他食料品等の国籍別購入額においても、中国が最も多く、昨年は536億円で全体の34%を占めました。ついで台湾239億円(15%)、韓国173億円(11%)、香港129億円(8%)、アメリカ114億円(7%)、タイ48億円(3%)、その他351億円(22%)とつづきました。
食料品等の購入額は2012年と比較すると現在約3.5倍に増加。今後は緩やかな増加傾向が続くと予想されています。
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | |
中国 | 110億円 | 116億円 | 199億円 | 484億円 | 536億円 |
台湾 | 65億円 | 103億円 | 131億円 | 225億円 | 239億円 |
韓国 | 77億円 | 104億円 | 100億円 | 146億円 | 173億円 |
香港 | 25億円 | 46億円 | 55億円 | 96億円 | 129億円 |
タイ | 41億円 | 73億円 | 57億円 | 96億円 | 114億円 |
アメリカ | 15億円 | 20億円 | 42億円 | 60億円 | 48億円 |
その他 | 134億円 | 191億円 | 211億円 | 283億円 | 351億円 |
全体 | 467億円 | 653億円 | 795億円 | 1390億円 | 1589億円 |
(観光庁公表資料より作成)
(参照:農林水産省資料)
お菓子類が人気の土産となっている理由として「おいしいから」という意見が最も多くなりましたが、ついで「頼まれたから」がつづきます。単に味が良いからというだけでなく、お土産に重宝されているのは、世界的にある程度認知されているお菓子や食料品が好まれていることがわかりました。