楽天リサーチは6月、格安スマートフォンに関する利用実態調査を行い、これを発表しました。調査はインターネットで行われ、20代〜60代の男女1000人の有効回答を得ることができました。
「格安スマホを知っているか」についての質問では、「既に使っている」「知っているか使っていない」の合計で9割を超え、非常に高い認知度であることがわかりました。
一方、「現在利用している携帯電話会社」についての質問では、格安スマホの利用率は16.5%にとどまりました。
高い認知度のわりに普及が進んでいないように見える格安スマホ。楽天リサーチの調査結果をもとに詳細な利用状況を解説していきます。
目次
- 1 格安スマホの利用率16.5%
- 1-1 月額平均利用料金は男性よりも女性のほうが高い
- 1-2 料金が高くて不満45.4%
- 2 認知度90.3%の格安スマホに望むこととは
- 2-1 格安スマホといえばワイモバイル?
- 2-2 格安スマホは「安い」、しかしサポートが「十分ではない」
1 格安スマホの利用率16.5%
調査を行った楽天リサーチは、格安スマホを「ワイモバイル、OCN モバイル ONE、 UQ モバイル、IIJmio、楽天モバイル、FREETEL、mineo、DMMモバイル、イオンモバイル、LINEモバイル」のものと定義して調査を行いました。
現在利用中の携帯電話会社についてインターネットで質問したところ(複数選択可)、最も利用率が高かったのはドコモ37.0%で、ついでau28.0%、ソフトバンク21.3%となりました。
格安スマホ(MVNO)で最も利用率が高かったのは楽天モバイル5.8%で、ついでワイモバイル5.7%、OCNモバイルONE0.9%、UQモバイル0.8%、IIJmio0.8%、フリーテル0.8%、mineo0.7%、DMMモバイル0.7%、イオンモバイル0.4%、LINEモバイル0.3%となりました。
・ 契約携帯電話会社別に見るスマホ利用率
順位 | 契約先携帯電話会社 | 利用率 |
---|---|---|
1 | ドコモ | 37.0% |
2 | au | 28.0% |
3 | ソフトバンク | 21.3% |
4 | 楽天モバイル | 5.8% |
5 | ワイモバイル | 5.7% |
6 | OCNモバイルONE | 0.9% |
7 | UQモバイル | 0.8% |
8 | IIJmio | 0.8% |
9 | フリーテル | 0.8% |
10 | mineo | 0.7% |
11 | DMMモバイル | 0.7% |
12 | イオンモバイル | 0.4% |
13 | LINEモバイル | 0.3% |
(参照:楽天リサーチ発表資料より作成)
1-1 月額平均利用料金は男性よりも女性のほうが高い
現在所有している携帯電話の月額平均利用料金は6053円となりました。このうち「1001円〜2000円以内」が15.5%と最も多く、「1〜1000円以内」が1.8%と最も少なくなりました。月に1万円以上使っている人は12.5%でした。
年代別にみると、20代が最も高い7253円で、ついで30代6458円、40代6246円、50代5920円、60代4762円となります。
20代では「7001円〜8000円」の利用率が16.8%と最も高く、ついで「1001円〜13000円」13.5%となるなど、スマートフォンに多くの費用をかけていることがわかります。一方、そのほかの世代では「1001円〜2000円」が最も高く、費用を抑えて利用していることがわかりました。
また、男女別に見ると男性5931円に対して女性6175円となり、わずかに女性のほうが上回りました。
・ 年代別月額利用平均額
20代 | 7253円 |
---|---|
30代 | 6458円 |
40代 | 6246円 |
50代 | 5920円 |
60代 | 4762円 |
男性 | 5931円 |
女性 | 6175円 |
(参照:楽天リサーチ発表資料より作成)
1-2 料金が高くて不満45.4%
平均月額利用料金では20代の若者が最も多く支払っているものの、料金に対する満足度は決して高くありません。
「現在支払っている携帯料金に満足しているか」との質問では、「満足」「非常に満足」が27.5%だったのに対し、「不満」「非常に不満」は45.4%となりました。
年代別では、特に20代の不満が高く、「不満」33.8%、「非常に不満」18.7%で、合計52.5%が不満を抱えながら利用していることがわかります。一方、「満足」「非常に満足」と応えたのは23.7%でした。
このほか、他の世代別の不満足度は、30代47.5%、40代46.7%、50代44.3%、60代38.3%となります。一方、満足度は、30代29.9%、40代23.1%、50代27.6%、60代32.5%となりました。
楽天リサーチは、
「高年齢層は携帯使用料金が安いため満足度が高く、逆に低年齢層は使用料金が高いため満足度が低い可能性があることが見てとれた」
とコメントしました。
・世代別の料金に対する満足度、不満足度
満足度 | 不満足度 | |
---|---|---|
20代 | 23.7% | 52.5% |
30代 | 29.9% | 47.5% |
40代 | 23.1% | 46.7% |
50代 | 27.6% | 44.3% |
60代 | 32.5% | 38.3% |
男性 | 27.5% | 47.2% |
女性 | 27.5% | 43.6% |
(参照:楽天リサーチ発表資料より作成)
・ 全体の料金に対する満足度、不満足度
2 認知度90.3%の格安スマホに望むこととは
格安スマートフォンの認知度調査では、「知っているが使っていない」「既に使っている」の合計で90.3%となり、その存在はほぼ知れ渡っていると言える状況です。ところが、「知っているが使っていない」が72.2%もいる事実は無視できません。果たして利用者は「安さ」以外に何を求めているのでしょうか。
2-1 格安スマホといえばワイモバイル?
知っている格安スマートフォンの会社の調査では(複数回答)、ワイモバイルが80.5%の認知度でトップでした。ついで楽天モバイル73.6%、UQモバイル67.2%、イオンモバイル40.2%、LINEモバイル29.2%、mineo19.8%、フリーテル16.0%、OCNモバイルONE14.5%、DMMモバイル13.7%、IIJmio9.5%となります。
・ 知っている格安スマホ会社
順位 | 契約先携帯電話会社 | 認知度 |
---|---|---|
1 | ワイモバイル | 80.5% |
2 | 楽天モバイル | 73.6% |
3 | UQモバイル | 67.2% |
4 | イオンモバイル | 40.2% |
5 | LINEモバイル | 29.2% |
6 | mineo | 19.8% |
7 | フリーテル | 16.0% |
8 | OCNモバイルONE | 14.5% |
9 | DMMモバイル | 13.7% |
10 | IIJmio | 9.5% |
(参照:楽天リサーチ発表資料より作成)
2-2 格安スマホは「安い」、しかしサポートが「十分ではない」
「格安スマートフォンを今後利用したいと思うか」を年代別に調べると、20代37.8%、30代41.4%、40代33.5%、50代33.1%、60代22.9%で、全体平均だと33.3%となりました。
知名度はあるものの、利用者は思いの外、利用に関して消極的です。その理由は「格安スマホに対するイメージ」にあるようです。
格安スマホを知っている人に対して、そのイメージを調査したところ、「安い」が75.8%で最も多くなりましたが、ついで「サポート体制が充実していない」29.8%となりました。このほか、「回線が遅い」29.2%、「店舗が少ない」27.6%、「端末の種類が少ない」18.8%、「よくわからない」17.2%とネガティブな意見が目立ちます。
格安スマホに対して「安い」というイメージが圧倒的に先行しているものの、それ以外のアフターサービスの少なさに不安を覚える利用者が多いようです。
・ 格安スマホのイメージ
安い | 75.8% |
---|---|
サポート体制が充実していない | 29.8% |
回線が遅い | 29.2% |
店舗が少ない | 27.6% |
端末の種類が少ない | 18.8% |
よくわからない | 17.2% |
若者向けのサービス | 14.9% |
流行っている | 9.1% |
iPhoneが使える | 8.2% |
申し込みが複雑 | 5.9% |
申し込みが簡単 | 5.7% |
かっこよくみえない | 3.9% |
iPhoneが使えない | 3.7% |
中高年向けのサービス | 2.0% |
端末の種類が多い | 1.1% |
かっこいい | 0.8% |
回線が速い | 0.8% |
サポート体制が充実している | 0.8% |
高い | 0.5% |
店舗が多い | 0.5% |
(参照:楽天リサーチ発表資料より作成)
楽天リサーチは、
「乗り換える際に重視するポイントと、格安スマホに対するイメージは、ともに「費用の安さ」であることが分かった。また、50代、60代においては「カスタマーサポートの手厚さ」が他の年代と比較して高くなっており、設定方法や使い方などについてしっかりとした説明を求めていることが分かった」
とコメントしました。
事実、格安スマホは通信料が安いぶん、大手キャリアに対してサポート体制の厚さに欠け、ある程度の専門知識を要する点などがネックになります。国民1人につき1台のスマートフォンを持つようになった現在。「安さ」と「安心」をどのように両立させていくかが今後の課題となりそうです。